1989年のある日、苫小牧の友人から日本海に流れている千歳川を勇払原野を通して太平洋に流す計画があると聞いて驚いた。
1991年、ある雑誌で私の写真と作家の立松和平氏の文章で放水路問題を取り上げたとき担当編集者の元へ北海道開発庁から「放水路は自然を蘇らせるためにやっている計画です。」との電話があり説明を聞くために私と編集者の二人は霞ヶ関へ出かけた。
応対に出た当時の河川課長は初対面の我々に計画に異議を唱えている石城氏と大畑氏を呼び捨てで「放水路は美々川・ウトナイ湖に影響がないと知っていながら反対運動のために反対している」と、代替え案として背割堤を示していた自分の恩師・Y氏のことを「高齢でボケている」……など、テープレコーダの前で言いたい放題。この課長は私が苫小牧出身であるということを知らなかった。
私は官僚の傲慢さと話術の巧みさに驚いた。この課長こそ現在の北海道開発局長・北條紘次氏である。
写真と文:加藤雅昭
赤旗北海道版 1996年4月20日 発行:日本共産党
タイトル写真説明
撮影:1993年8月16日 ウトナイ湖 苫小牧市の東約12kmに位置する海跡湖
ウトナイとはアイヌ語で「ウッ・ナイ・トー」、「肋骨・川・の沼」という意味。