浜厚真

撮影:1976年8月31日 浜厚真/厚真川河口の工事用標識

撮影:1977年3月8日 ホタテの貝殻と工事現場/浜厚真苫東の第二次買収ともない国鉄日高本線の浜厚真駅は無人となり、国道が切り替わり、学校が廃校となり浜から人々の姿が消えた。日高方面への交通の要所として栄えた浜厚真は開基80数年でその歴史を閉じた。

浜厚真の前浜漁場は道内でも有数のホッキ、ホタテ漁場で苫東以前には全道でもトップクラスの所得を誇っていた。

この海岸には昔から漁港はなく漁船は前浜に引き上げる以外方法がなかったが、こんな浜に突然、念願の「港」が出来た。苫東港工事用船溜まりが1976年8月の着工からわずか数ヶ月で出来てしまったのだ。

その後行なわれた第二次買収で浜から一里も離れた上厚真に出来た漁民団地へと移り住んだ人、海を捨てて転職したり、道内の他の港町へ散ってしまった人……。

苫東着工直後、浜の人々は苫東港工事を横目で見ながら細々と漁を続け、浜を去る日を静かに待っていた。

写真と文:加藤雅昭

赤旗北海道版 1996年4月19日付紙面に掲載


タイトル写真説明
撮影:1976年8月31日 浜厚真/厚真川河口の工事用標識