かつて福岡にあった伝説の醤油ラーメン「中華そば信兵衛」

「中華そば信兵衛」の薄口醤油を使った中華そば 600円 撮影:1995年12月12日

1995年の暮れ、フライデースペシャルの「ご当地うまいラーメン」という企画で福岡を訪れた時の話。
福岡のラーメンといえば真っ先に白濁豚骨スープの博多ラーメンや長浜ラーメンなどを思い浮かべるだろう。この企画でも変わり種ではあるが「八千代ダーメン」と「福一ラーメン」の2件の白濁豚骨スープのラーメン店を取材している。
もう一軒、中央区の薬院という場所にある「中華そば信兵衛」という醤油味の絶品中華そばの店を取材したのだが、その衝撃は今でも忘れられない。

2010年5月14日撮影 八千代ダーメンのラーメンご主人の岡部信兵衛さんは子供の頃に食べていた醤油味の中華そばを自分が食べたくてこの店をオープンしたのだと語っていたのを撮影しながら聞いていた。
スープは黒豚豚骨と天草地鶏、ニンニク、生姜、ネギ、玉ネギ、羅臼昆布やかつお節を使い化学調味料は不使用とのこと。
麺にはかん水を使わず、国内産の小麦粉とヨード卵で仕上げ、4日間寝かせて熟成させている。
北海道生まれの私も、札幌ラーメンといえば醤油味が当たり前だったのだが、昭和40年初頭以降、徐々に札幌ラーメン=味噌味との認識が広まってしまったことを苦々しく思っており、滅多なことでは味噌味を食すことはなく、ほぼ、ほぼ醤油味のみを食べ続けている。

撮影:1995年12月12日 福一のらーめん口絵写真の薄口醤油を使う中華そば600円也を撮影後に試食させていただいたのだが、その衝撃は今でも舌の奥に残っているように感じられ、東京でも中華そばの名店は数々あれど、それまで食した中華そばの中でもトップ級の美味だったのだ。

その後も福岡への出張はたびたびあったのだが、再訪することはかなわず、岡部さん他界のため2000年に閉店してしまったとのことだ。


タイトル写真説明
撮影:1995年12月12日 福岡市中央区薬院にあった「中華そば信兵衛(しんべえ)」の薄口醤油を使った中華そば 600円


追加情報


■「中華そば ふくちゃん」
https://fukuchankiyokawa.wixsite.com/home

「中華そば信兵衛」の店主だった岡部信也さんの下で仕込みなどの手伝いをしていた甥に当たる福田秀雄さんが2018年に開店した店。