建国記念日の本日からちょうど一月前、新右翼「一水会」の元代表だった鈴木邦男氏が誤嚥性肺炎で亡くなったとのニュースが先月末の1月28日に報じられた。
鈴木氏とは帝銀事件・平沢貞通の養子の平沢武彦氏が開催した会で何度か会っており、撮影もしているが、挨拶程度の関係だったため交流があったとは言えないが…。
最後にお会いしたのは、武彦氏が阿佐ヶ谷の自宅で孤独死したのちの2014年1月に開催された偲ぶ会だから、10年近くご無沙汰していたことになる。
鈴木氏は落語をこよなく愛し、寄席にも足繁く通い多くの噺家や講談師とも親交があり、さらには、左翼の言論人を含めイデオロギーの枠を超えた幅広い交流があった。
実際、前述の「平沢武彦氏を偲ぶ会」の懇親会の席上で左翼活動家と気が合い、連れ立って夜の街へと消えて行ったことを目撃している。
そんな右翼でありながら『怒鳴らないし、暴れない。だから「上品」な右翼と、思ったのかもしれない。』(鈴木邦男をぶっ飛ばせ!)と、三遊亭円丈氏に30年ぶりの再会を果たした時のエピソードを自身の2016/09/19付のブログで書いている。その記事には共産党の小池晃氏との記念写真まで掲載されている。
改憲論者でもある鈴木氏は「自主憲法の制定」には賛成としながら、安倍政権が推し進めていた愛国心強制や国民の自由を制限する憲法改正(自民党憲法改正草案)には断固として反対の立場で、「自由のない自主憲法より、自由のある押し付けられた占領憲法を選ぶ」(magazine9)とまで発言している。
鈴木氏の表現を借りれば「怒鳴ったり、暴れたりする」フツーの右翼から見れば、右翼思想家でありながら個人の自由や多様性を尊重するリベラルな主張をする鈴木氏は、相当に厄介で目障りな存在だったことは想像に難くないだろう。
タイトル写真説明
撮影:2009年1月26日 「帝銀事件と冤罪の闇」で発言する鈴木邦男氏 阿佐ヶ谷ロフトにて
【外部リンク】
■鈴木邦男をぶっ飛ばせ!(鈴木氏本人のブログ)
http://kunyon.com/
■改憲論者・鈴木邦男氏が警鐘「安倍政権が改憲するなら現行憲法のほうがマシ」―「右傾化する日本」を新右翼としてどう見るか──改憲、愛国心強制、排外主義を乗り越えて 2013.4.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/74227
■左派への共感、右派への違和感 鈴木邦男さんが貫いた「愛国」とは(有料記事)
https://www.asahi.com/articles/ASR276QW1R27UCVL00G.html
■右翼運動と日本国憲法 magazine9
http://www.magazine9.jp/interv/kunio/kunio1.php