現実味を帯びてきた「緊急事態宣言下の五輪」

撮影:2021年5月3日 東京都新宿区霞岳町 逆光(逆境)の五輪
■緊急事態宣言下の五輪

あるテレビ番組内で日本医科大特任教授・北村義浩氏が「このままでは緊急事態宣言下の五輪になりかねない」と発言したのは半月ほど前なのだが、その後、変異ウイルスの蔓延で全国各地で感染者数が急増している状況にもかかわらず、ナントカの一つ覚えのように、「安心・安全」な五輪開催を繰り返すばかりの首相や五輪組織委員会。IOCも東京五輪を「絶対に開催する」と断言する始末だから、北村氏の発言のように「緊急事態宣言下の五輪」がにわかに現実味を帯びてきたということ。

昨日(5月13日)、菅首相は森田健作前千葉県知事と官邸で面会し、昼食(蕎麦)を共にしたとのことだが、その際、森田氏が「オリンピック、総理やるでしょ?」と訊いたところ「やる」と答えということだから、緊急事態宣言下の五輪が裏付けられた形となった。

■暗雲立ち込める五輪開催

New York Timesの電子版(2021年5月11日付)では、サッカーの元米五輪代表でパシフィック大の政治学教授・ジュールズ・ボイコフ(Jules Boykoff)氏は「科学に耳を傾け、危険な茶番をやめる時」、五輪が強行される理由は3つある。カネ、カネ、そしてカネだ」と痛烈な皮肉なのだが、科学に基づかない「あやふや、ちぐはぐな的外れ」な政策を繰り返してきた菅政権にとっては馬耳東風か……。
また、同日、宝島社が全国紙に掲載した新聞広告「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」との痛烈な皮肉も届かないのだろう、きっと…。

思い起こせば2017年5月、多くの反対の声を無視するかのように法案を強引に成立させようとしていた安倍首相宛に5月18日付で国連の特別報告者であるケナタッチ氏から「共謀罪はプライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」と人権上の懸念を示す書簡が送られていたにも関わらず、当時の安倍首相と官房長官を務めていた菅義偉ら「安倍一味」は真摯に答えることなく、法案成立後に「指摘はあたらない」「批判は全くあたらない」(※不思議と菅首相の口癖に似ているが…)との否定ばかりか、公開書簡を送付したこと自体を批判したのだからたちが悪い。

■二度目の五輪返上という英断は?

2009年10月2日撮影 羽田空港で、コペンハーゲンで開催のIOC総会で2016年東京オリンピックをアピールする鳩山由紀夫首相そもそも、東京都民は民主党政権時の2016年オリンピック誘致時からほとんどが興味を示さず、利害関係者だけが盛り上がっていたという経緯があるのだから、1940年に予定されていたアジア初の東京オリンピックのように「返上」してはいかがだろう?
1940年のオリンピックは日中戦争の影響で政府が「返上」した前例もあることだし、コロナとの戦争中なのだから「返上」したとしても何の問題はないはずだ。
オマケに、世界でオリンピックを返上した二人目の首相になれるばかりか、ナントカの一つ覚えのように「安心・安全な五輪」を繰り返すようなことから解放されまっせ、ガースー首相


タイトル写真説明
撮影:2021年5月3日 東京都新宿区霞ヶ丘(霞岳)町 暗雲立ち込める五輪