「千歳川放水路計画」第11回 拡大会議報告-大西陽一

1991年3月24日 オジロワシを威嚇するオオワシ/ウトナイ湖

このページでは「千歳川放水路に反対する市民の会」事務局・大西陽一氏から寄せられた千歳川放水路「第11回 拡大会議(98/11/14)」報告を紹介しています。 (加藤)

「千歳川放水路計画」第11回 拡大会議報告

 

文:「千歳川放水路に反対する市民の会」
事務局・大西 陽一

 

掲載日:1998年11月18日

千歳川流域治水対策連絡協議会よりの意見(石狩川移設案について)

なお、当日は黒氏恵庭市長欠席のため同市助役が発表(検討委員会および拡大検討委員会のメンバーにつきましてはこちらをご覧下さい)

連絡協議会で臨時総会を持ってまとめた意見

石狩川河道移設案については、同地域は管内屈指の穀倉地帯であり、現在建設中の道央連絡道路や国道275への影響など江別市の都市計画に重大な支障をきたし、反対である。また、内水面漁業やカモ類の渡来地と言った面から環境面の影響もあり、反対する。

関連意見として、吉田氏より治水計画としては可能性のあるものの中で一番効果の大きなものを設定して欲しいが、工事そのものは出来るものからやって欲しい。工事、即効果があるものが欲しい。移設案よりも当面は流域内の治水を考えて欲しい。

葉山

江別市を中心に反対がおきているが、これは放水路の膠着とよく似た状況である。現在委員会に求められているものは、当初、数年に1回水のつく水害常襲地帯の解消であり、56年水害を克服することであったはずだ。委員長意見にもある段階的施行の第1段階、第2段階でこれらを解消する方策を委員会は定めるべきだ。これに10年ないし20年かかるとしたら、その段階で社会情勢等を踏まえて治水計画の見直しを行うべきで、道の時のアセスなどの考えもそうなっているはずだ。なお、今のような膠着状態にその時点で陥らないように、基本的な方針だけは検討すべきで、移設案のような大規模な計画の判断はいますべきではない。

山本

当事者である連絡協議会で流域内治水に対して検討が行われているのか。各自治体の役割をどう考えているのか聞きたい。各自治体には、治水計画を受けての都市計画等の政策を決定していく責任がある。

内田

今回の意見は、連絡協議会の意見か、江別市の意見か。

永田助役

基本としては江別市の意見であり、協議会がそれを支持したものである。

 

総合治水案について

現在、囲まりつつある部分は

・18平方キロの外水用遊水地と、同規模の内水用の調整地(池)
・8.5mの高水位の設定とそれに対応した堤防強化
・千歳川の60mまでの拡幅、浚渫
・締切水門と排水ポンプ

であり、合流点対策は、まだ議論を残している。これらについて工費、工期を開発局に検討を依頼したので説明を受ける

締切水門

約130億円 調査準備に1年、本体工に6年程度 その他をあわせて10年
・排水ポンプ100t規模として現在1t、3億程度が相場なので約300億円

調査準備に1年、本体に6ないし7年 なお、機器更新に、20~30年毎に約130億円
・浚渫拡幅 約150億円 H12年までに50m拡幅が終了、その後10年で60mに拡幅
・堤防強化 約600億円 腹付けと漏水対策および 排水機場、樋門等の改修で20年
・遊水地  約1100億円 地域調整に5年、工事に15年程度で20年

石狩川の本川対策

合流点対策等の抜本的対策は、流域対策やとりあえず石狩川の水位を下げる工事が終わった20年後程度からを予定。

現在

本川対策に

450億円/年

ダムに

200億円/年

まずは、効果のある低水路の拡幅、浚渫を行っており、H12に85%(340m)断面完成。H31年には、100%(400m)の低水路確保ができる。その後、高水敷き等の工事を行う。
また、20年後には、工事中の滝里ダム、忠別ダム、シューパログムが完成し、幾春別総合開発で予定している2ダムもできると思う。この時点で、現在700の調整能力が2100tになる。
合流点での効果としては、20年後に14000の流量で現況9.4mが8.8m程度になる。

社会制度・ソフト対策について

 

山本氏

治水対策では、人命に対しては、1/100でも1/200でも、安全策一でさらに都市計画上の十分な配慮が必要。農地などの財産については、1/20~1/30年程度とし、補償の道を探るべきだ。
吉田氏 現在の共済制度では、被害の度に負担金が増える仕組みで補償はむりだ。制度そのものも預り金の金利運用で行っており、現状は厳しい。

出村

現行制度内での補償は難しい。自治体レベルでの対応が可能か事務局に調べさせている。

辻井

20年後の土地利用形態や農業形態、農業人口などを見つめての立案が必要。
農業面からは、用排水路の貯留の利用や農家各戸に調整池を作ったりするような事も必要。遊水地についても作物の選定やレクリエーション等での利用も考えるべき。

 

今後の予定

次回に向けて流域内対策(総合治水対策)をまとめたい。
そして、流域外対策との比較を行う。開発局には次回までに流域外対策について検討をしてもらい報告してもらう。従来の放水路は問題がはっきりしているので、自然環境や他地域の社会影響、漁業影響も含めて検討してもらいたい。

12/7 検討委員会
12/12 拡大会議
12/19 拡大会議

次回には、開発局より変形した放水路案が出るはずです。ミニ放水路が出るのか。苫東沈砂池案が出るのか。いよいよ山場になります。

 


検討委員会メンバー

 委員長

山田家正

小樽商科大学長(生物)

 副委員長

西山恒夫

北海道東海大学学長(水産)

 委員

板倉忠興

北海道大学教授(河川)

 委員

内田和男

北海道大学教授(経済)

 委員

辻井達一

北星大学教授(環境)

 委員

出村克彦

北海道大学教授(農業経済)

 委員

藤間聡

室蘭工業大学教授(河川)

拡大検討委員会

 委員

黒氏博実

千歳川水系治水対策連絡協議会(恵庭市長)

 委員

吉田義忠

流域農業関係者(恵庭土地改良区理事長)

 委員

森隆雄

苫小牧市企画調整部長

 委員

浅田昭弘

連合北海道政策調査部長

 委員

山本行雄

札幌弁護士会

 委員

葉山政治

(財)日本野鳥の会ウトンナイ湖サンクチャリチーフレンジャー

 委員

黒木大仁

(社)北海道自然保護協会常務理事

 委員

小野有五

北海道大学環境科学研究所教授

 委員

大西陽一

千歳川放水路に反対する市民の会 代表

(葉山から大西までのうち2人がテーマ別に委員になる)

オブザーバー

吉田義一

北海道開発局河川計画課長

岡部和憲

北海道開発局河川課流域対策官

 


 

このページの文章は「千歳川放水路に反対する市民の会」事務局・大西陽一氏のご厚意により掲載したもので著作権は大西陽一氏が保有します。著作者に無断の転載は禁止します。

 


タイトル写真説明
撮影:1991年3月24日 オジロワシを威嚇するオオワシ/ウトナイ湖
春と秋の渡りのシーズンには北帰行のガン類やカモを狙って天然記念物に指定されているオジロワシ(左)やオオワシなどの猛禽類も姿を見せる。