長年にわたりJAZZピアニストとして活躍し続けたチック・コリア(Chick Corea)が2月9日に亡くなっていたとの報道があった。
はじめてチック・コリアの曲に接したのはリターン・トゥ・フォーエヴァー(return to forever)で、友人の家で聴かせてもらった高校時代のこと。
その頃はエレピの音色に違和感を感じて馴染めなかったのだが、様々なジャンルの音楽に接した現在では完全にその音色に魅せられてしまい、愛聴盤となっているから不思議だ。
その後、東京生活3年目の1978年2月、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)とチック・コリアのスーパー・デュオコンサートが日本武道館で開催されることを知ったものの、貧乏学生の身にはチケット代を捻出できるはずもなく、涙をのんだ思い出がある。
ただ、このコンサートの模様は、翌月、二夜にわたりFM東京(現在はTokyo FMと名乗っているが…)で放送され、エアチェックをしたカセットテープが今でも残っていて、この日の白熱した演奏は自分自身で気軽聴けるようにとデジタル化し、これまた愛聴盤となっている。特に、放送では最後の曲となっている「La Fiesta」は超が3つほどつく名演奏だ。
大学生時代、多くの音楽家を撮影した写真家の木之下晃さん(故人)にお会いし、「好きな音楽をタダで聴けると思って写真家になった」伺っていたのだが、実際に写真を職業としてみると、そんなに甘くはないことが分かった。
TOPの写真は1985年2月、チックがキース・ジャレット(Keith Jarrett)とモーツァルトのピアノ・コンチェルトを弾くというコンサートのリハーサル時のものだが、生の音を聴いたのはリハーサル前の打ち合わせ時のつま弾く程度の音だけで、あとは録音室からの撮影になってしまったため、本番を含めて目の前の演奏を見ながら撮影し、録音室内に設置されているモニター・スピーカーからの音を聴いていたにすぎない。
また、1987年9月29日、GRPスーパーライブが開催中の楽屋で、Dave GrusinやLee Ritenour、Tom Scottを撮影する機会に恵まれたのだが、撮影時にステージ上で演奏していたのは「Elektric Band」引き連れて参加していたチックで、その音は撮影中の楽屋の中まで届いていた。
結局、生演奏に接する機会がないまま、本日、チックの訃報に接してしまった。
それでも、冒頭のreturn to foreverやSuper Duo、Mozartのコンチェルト等々、彼が奏でた数えきれない音楽は永遠に生き続けるに違いない。
タイトル写真説明
撮影:1985年2月1日 東京・五反田 簡易保険ホール
TOKYO MUSIC JOY 1985
Keith Jarrett & Chick Corea Play Mozart