原稿紛失という問題は、なにも小学館に限ったことではない。
しかしながら、当方が提訴した「小学館著作権侵害裁判」にせよ漫画家の雷句誠氏が提訴した「金色のガッシュ!!」原稿紛失事件にせよ、なぜか小学館が引き起した原稿紛失事件が突出して問題がこじれているように見受けられる。
これはもちろん、著作物たる「原稿」を大切に扱わないと言う、小学館の誤った著作権認識により引き起こされたものなのだが、裁判の中で「原稿」について被告小学館が主張している内容は、誰が見ても無理がある驚くべきものだ。
愕然とする内容ではあるが、裁判の中での主張であるから、当然だが小学館の「原稿」への考え方が、そのまま反映されている。
被告準備書面(1)11ページ(PDFファイル)
『被告は、引渡を受けたポジフィルムについては、自己の所有物であるから、サライに掲載使用したか否かに関わらず、管理処分権を有している。つまり、サライ発行後もこれを保管するか破棄するかは、法的には被告が任意に決定しうる問題である。
サライ編集部において、掲載使用しなかったポジフィルムを順次写真家に渡すのは処分行為であり、借り受けた他人の財産を返還しているのではない。』
被告小学館の主張する「借り受けた他人の財産」、すなわち写真原稿にせよ、漫画原稿にせよ、他人の「著作物」とは考えていないのである。
他人の「著作物」ではないものを大切に扱うハズはないし、たとえ紛失したとしても「自己の所有物」の紛失だから損害は生じない……のだと。
紛失しても誠実に対応しないのも当たり前、話がこじれるはずである。