苫東を通る石狩低地東縁断層帯南部って何?

※タイトル写真は地震で緊急停止した苫東厚真火力発電所 2015年10月20日撮影

今回の北海道胆振地方で起きた地震について、TBS系列のゴゴスマに生出演した地震発生予測などを研究している鈴木康弘・名古屋大学教授は、「石狩低地東縁断層帯南部」と呼ばれる活断層が引き起こした可能性が高いと語った
活断層は石油備蓄タンクの手前側を横切っていると思われる。タンクの左奥が安平町方面、奥が厚真町方面 2002年1月25日撮影この活断層は千歳市から勇払郡安平町、苫小牧市、勇払郡厚真町を経て、沙流郡日高町沖合の海域に至る断層帯で、タイトル写真の苫小牧東部大規模工業基地内の石油備蓄基地敷地内を通っているといわれている。
この石油備蓄基地はオイルショックを機に石油の急激な価格変動に備えて国家と民間で石油を備蓄するというものであるが、政府は苫東内の活断層について隠ぺいしたまま建設したという経緯がある。

今回、石油備蓄基地でオイルが漏れだしたという報道は今のところないのだが、全道で発生している停電の原因が地震の影響で苫東厚真火力発電所の設備の一部が損壊したことにより、「電力の発電量と使用量のバランスが大きく崩れ、ほかの火力発電所でも運転を停止」してしまったものとされている。

破たんした苫東工業基地内の弁天沼から厚真石炭火力発電所を望む 2015年3月23日撮影本来、この苫東厚真火力発電所の電力は進出するハズだった工場に供給するために建設されたのだが、こんな北の果てに進出する企業はごくわずかで、仕方なく一般向けに発電する羽目になったものだ。
しかも、当初は道内の炭鉱を守るため道内産の石炭を使用するとされていたが、相次ぐ閉山で輸入炭を使うことになってしまった。

それにしても、たった1機の発電所の影響で、全道で停電が発生してしまうなんて、北電のシステムの脆弱性には目を覆いたくなる。
午後になって外部電源が復活したという、100km以上離れた積丹半島の付け根に建設された泊原発の外部電源にも影響を及ぼすなんて、開いた口が塞がらない。

2018年9月10日追記

上記記事内では「鈴木康弘・名古屋大学教授は、「石狩低地東縁断層帯南部」と呼ばれる活断層が引き起こした可能性が高いと語った」と書いたが、その後の調査で石狩低地東縁断層帯の東側の未知の断層が引き起こした可能性が高くなったことが気象庁から発表されている。