版権という死語

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版権という用語、著作財産権の旧称、明治の時代の「いにしえの用語」であり、現在では用いられることのない「死語」といえる。

…のだが、日本を代表する出版社の一つである小学館では現在でもこの「版権」という死語を持ち出して、自らの権利を主張し営業妨害を行った実態がある。

この営業妨害は「小学館サライ著作権侵害裁判」の提訴理由の一つにもなっている。

被告による営業妨害の有無について原告の主張(判決より)
被告は、平成15年8月ころ、広告制作プロダクションから、原告撮影に係るサライ掲載写真を旅行パンフレットに使用したいとの申入れを受けた際、原告の許諾を得るとともに、当該写真が写されたポジフィルムの交付を要請した同プロダグションに対し、自社の版権なるものを主張し、原告に支払う許諾料と同額の対価を支払うように請求した。そのため、同プロダクションは、原告の写真を使用するために、想定していた金額の倍額を支払わなければならなくなり、予算的に受け入れることができなかったため、当該写真の使用を断念した。
被告の上記行為は、原告の、当該写真使用許諾により得られるはずであった許諾料を失わせるものであり、営業妨害の不法行為を構成する。

このようにサライ編集部では、何の根拠か原告の写真について自らの「版権」なるものを主張し、原告への支払い額と同額の使用料を被告へも支払うよう写真貸し出しを求めたプロダクションに請求し、取引を破綻させた事実があり、被告も「写真使用権について編集部の認識が誤っておりました」と謝罪していたのだが、何故か判決では

争点4 被告による営業妨害の有無について 34頁
被告において、当該ポジフィルムの所有権が被告にあるとの認識に基づいて、使用料等の請求を行ったものであるか否かは、必ずしも明らかでない上、仮に、そのような認識を有していたとしても、雑誌の発行者として、当該雑誌の誌面に掲載された写真について、二次使用を希望する第三者に対し、何らかの金銭請求をすることは、金額が不相当に高額でない限り、それ自体で違法な行為であるとまで評価することはできない

として、認められなかった。

「被告の版権」を主張して、ひとつの取引を破綻させた責任が判決で認められなかったのは残念ではあるが、現代の出版社であるはずの小学館の編集者が「版権」などというカビの生えた用語をいまだに使用し続けたり、平気で大量に無断複製するなんて、社員に対する著作権教育はどうなっているんだろうなと心配になってくる。