月島のレバーフライ

デジタル絵日記
写真と文:加藤雅昭

中央区佃「ひさご家阿部」
中央区佃「ひさご家阿部」

いつの間にか月島は「もんじゃ」で有名になってしまったが、あんなに具だくさんの代物は「もんじゃ」とは認めたくはない。
本来の「もんじゃ」は、駄菓子屋の店先でメリケン粉を極限まで薄く水で溶き、申し訳程度に紅ショウガやキャベツのクズなどを入れ鉄板で焼いていたものを子ども相手に売っていたもので、たくさんの具で土手をつくり、その中にメリケン粉の汁を投入するような現在の方法は「もんじゃ」とはまったく別の食べ物だ。
そんな「もんじゃ」は一般的には下町の食べ物とされているが、生粋の江戸っ子に言わせると、下町は下町でも「川向うのくいもんだ」そうだ。
まあ、確かに月島は川向うには違いはないが……。

そんな「もんじゃ」が有名な月島ではあるが、本当の名物はレバーフライだと思っている。
ハムカツのハムのように薄くスライスしたレバーを串に刺して揚げ、ソースにくぐらせたものをたっぷりのカラシをつけて食す、これぞB級の極みってなところだろうか。

本日、ちょっとした用事で銀座の並木橋まで車で出かけた折、ふとレバーフライのことを思い出し、勝鬨橋を渡ってお目当ての「ひさご家」へ。
店によってはサービスのつもりなのか、分厚いレバーを使用する店もあるようだが、貧乏くさいほどぺらっぺらにスライスしたのが王道なのであって、決してレバーそのものをお腹いっぱい食べたいわけではないのだ。