喉元過ぎれば…、高速増殖炉「もんじゅ」が再開?

デジタル絵日記
写真と文:加藤雅昭

民家の至近距離に建設された高速増殖炉「もんじゅ」 福井県敦賀市 1995年1月30日撮影
民家の至近距離に建設された高速増殖炉「もんじゅ」
福井県敦賀市 1995年1月30日撮影

活断層の巣の上、敦賀半島に建設された高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)は、1995年12月8日(なんと私の45回目の誕生日)にナトリウム漏れという重大な事故を引き起こしてから現在に至るまで停止されいる。
が、ここへきて急に原子力安全委員会は再開容認の姿勢となった。
また、時を同じくして海の向こうのオバマ政権でも、1979年のスリーマイル島で起きたメルトダウン寸前の事故以来、30年以上も途絶えていた原発の新規建設にGoサインを出したということだ。こんなところで日米が同調しなくったっていいんだけれどもね。

もんじゅで使用されるMOX燃料は使用済み核燃料を再処理しプルトニウムを含む極めて危険な代物。しかも、もんじゅのような高速増殖炉は先進各国で研究が続けられてきたが、実験の段階でさまざまな問題が判明したため、そのほとんどが挫折してしまっている。
なのに、なぜ再開なのか?
鳩山首相は国連の演説で「温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減する」と世界に大見えを切ってしまった。この気の遠くなるような目標を達成するためには原子力の助けを借りなければ無理であるということなのか。
化石燃料の使用を極力抑え原発を推進するためにも、この核廃棄物を再利用できる(ハズの)高速増殖炉は技術的課題が山積し、極めて危険であっても、どうしても必要だということなんだろうな……。

余談だが、もんじゅと同じく敦賀半島にある関西電力美浜原子力発電所では、59回目の長崎原爆の日と同じ2004年8月9日、蒸気漏れ事故で11人が死傷するという重大事故を引き起こしている。この事故はあと一歩で炉心溶融にいたるところだった。

喉元過ぎればナントやら……。