憲法記念日に首相のキナ臭~いメッセージが……

憲法施行から70年に当たる憲法記念日の今日、安倍晋三首相は、自身も属する極右団体である日本会議が主導する会合に、「2020年までに憲法改正を目指す」とのビデオメッセージを寄せたと報道された。
「安全保障関連法案」に反対する総理官邸前デモ 2014年7月1日撮影
「安全保障関連法案」反対デモ

憲法解釈の変更で集団的自衛権行使を認めるようにする「安全保障関連法案」は、2015年7月16日の衆院本会議、同年9月19日の参院本会議で、それぞれ自民、公明両党などの賛成多数で可決されれいるので、ニッポンは既に「戦争ができる国」になっている。
今回のメッセージでは「9条1項2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」との内容も含まれていたということだが、力の暴力ともいえる手法の憲法解釈変更で可能だということを、集団的自衛権を可能にした「安全保障関連法」で実証済みなのだから、いまさら「憲法改正」は不必要なんじゃないのかと……。

「安全保障関連法案」に反対する総理官邸前デモ 2014年7月1日撮影
「安全保障関連法案」反対デモ

2013年の「特定秘密保護法」、2015年の「安全保障関連法」に続き、今、現代の治安維持法ともいえる「テロ等準備罪(共謀罪)」が審議されているが、その都度、戦争がしたくってたまらない我が国の首相は、危機感をあおって国民を扇動してきたという前科がある。
「安全保障関連法案」では、国会で集団的自衛権の必要性を、あたかも中国による尖閣諸島問題を彷彿させるようなフリップボードを使って説明し、多くの国民に「尖閣のこともあるから仕方がないんじゃないの?」との誤った認識を与えてしまった(……と、いうよりは、個別的自衛権で事足りてしまう尖閣問題を、あざとく利用したのだろう)。

今回の「テロ等準備罪」では、運よく……というべきか、タイミングよく北朝鮮の暴走の可能性が連日報道され、調子に乗った安倍チャンはこれを見事に利用し、「テロ等準備罪」がなければ東京オリンピックが開催できないなどと国民の不安を煽り続けている。
憲法改正は最終的には国民投票によって国民が決めるものだが、国民の間にも右傾化が著しい現在の日本では、憲法改正も決して絵空事ではない状況であるし、そもそも極右の首相が「憲法改正」を口にするだけでも危険極まりない異常事態と言えるだろう。
世界中に、キナ臭~い匂いが漂い始めているが、わが国では極右の首相がとうの昔に誕生しているのだから、米トランプ大統領やヨーロッパの極右の台頭は遅かったともいえるだろう。

総理記者会見時におけるパネル資料

2017年5月13日追記
上記画像は、2014年7月1日総理記者会見時、安倍首相が邦人輸送中の米輸送艦の防護について説明したときの資料として首相官邸のサイトで公開されているもの。
2014年26年7月1日の集団的自衛権行使閣議決定後の記者会見では、攻撃国が”中国や北朝鮮であるかのような印象を与えかねない”安倍首相「お気に入りのパネル」を5月15日会見に続いて使い、「あらゆる事態を想定し、国民の命、平和な暮らしを守るため切れ目のない安全保障法制が必要だ」と主張した。
首相官邸ホームページ 平成26年7月1日総理記者会見
平成26年7月1日総理記者会見時におけるパネル資料(PDFファイル)