疑問や反対の声を無視してすすめられた結果1,600億円もの赤字を作ってしまった苫東。その張本人である北海道開発庁は汚名返上とばかりに千歳川放水路計画を発表した。日本海に流れている川を洪水対策とはいえ太平洋に流すという荒唐無稽な計画には当初から多くの疑問や反対の声が上がった。
しかしながら、またしても北海道開発庁はこの声に耳を傾けていない。
苫東開発で約束された美々川とウトナイ湖の保全は放水路計画によって反古にされてしまったも同然だ。
国の天然記念物が大挙して訪れる苫東内の弁天沼周辺に国際熱核融合施設を誘致しよう、国会も誘致しよう、そして千歳川放水路計画等々…。
着工から20年、人々の生活と自然環境をことごとく変えてしまったうえに失敗した苫東の教訓はまったくと言っていいほど生かされていない。
勇払原野には次から次へと妖怪が現れる…。
写真と文:加藤雅昭
赤旗北海道版 1996年4月21日付紙面に掲載
タイトル写真説明
撮影:1991年9月4日 石油備蓄基地
この石油備蓄基地のすぐ北には大きな活断層があり地震の影響が心配されているが、当局は安全だと主張している。