開発局に乗っ取られた?1998年チプサンケ

写真と文:加藤雅昭


タイトル写真:1998年8月20日 開発局の協力?のもとで行なわれたチプサンケ

二風谷ダム訴訟の原告、萱野茂、貝澤耕一両氏は出席せず!

例年通り8月20日、二風谷の沙流川で催されたチプサンケ(舟下ろし祭)は、いつもと様子が違っていた。毎年参加している人々の間から「萱野さんは?貝澤さんはどうした」との声が聞こえてきた。
二風谷ダム訴訟のシンボルとも言うべき祭にダム訴訟の原告でもあり、この祭の顔でもある二人が参加していないのは、かなり異常だと言わざるを得ない。

二風谷ダムの放流でかろうじて水量を確保

昨年、1997年のチプサンケから舟下ろし場所がダムの底に沈んでしまったため(※注)開催地をダムの下流に変更して行なわれていたのであるが、開発局が舟揚げ場の下流にあった堰を撤去してしまったため水量が確保できない結果となった。
二風谷ダム訴訟のシンボルとも言うべき舟下ろし祭が、開発局(二風谷ダム)の協力で放水して増水させなければ成り立たないという、皮肉なことになってしまったのである。
チプサンケに先だって行なわれた「縁結びのお祭り」には参加していた萱野茂氏に「今年は丸木舟には乗らないのですか?」と尋ねてみたところ、小さいけれどもしっかりとした声で「ダムを開けない限り乗らない、絶対乗らない……」。
貝澤耕一さんは私に、「見たかい?ひどいよ~」と、再び改修されてしまった沙流川の状況を嘆いていた。


※注:1996年のチプサンケは試験たんすいで貯められたダムの水を4か月ぶりに抜いた古来の場所(ただしヘドロがたまっていたが)の上で開催された。(二風谷ダムの底は、4ヶ月間でヘドロ状態のページ参照